2017/04/14

稲口町の家2

稲口町の家1が竣工して2年後、稲口町の家2が竣工しました。
計画当初から、連棟の住宅としてそれぞれに違った個性を持ちながら、街並みとして統一感のある風景をつくりたいという意図がありました。


写真右側が稲口町の家1、左側が稲口町の家2です。
敷地は、稲口町の家1とほぼ同じ間口6.7m奥行19mといううなぎの寝床のような狭小地。郊外ですが準防火地域で、1・2階ともほぼ全域が「延焼のおそれのある部分」に掛かっています。
準防火地域の場合、法規上「延焼のおそれのある部分」という、隣地境界線および道路中心線から1階で3m、2階で5mの範囲は、外壁と軒天を防火構造にすること、窓や玄関扉などを防火仕様のものを使用しなければいけない制約があります。

外観は稲口町の家1と基本的な仕様は同じ。外壁の黒い部分はガルバリウム鋼板、白い部分はジョリパット、軒天はケイカル板ペンキ塗りとしています。
ガルバリウム鋼板は波板ではなく表面がフラットな羽目板タイプのものをモイス下地の上に張っています。羽目板タイプは開口部やベンドキャップまわりの雨仕舞いでコーキングに頼る割合を減らしています。軒下の部分は室内の延長と考え、白い壁としました。
黒と白だけでは味気ないので、防火の制限の掛からない戸袋、手摺り、塀に木を使って立面のアクセントにしています。

photo そあスタジオ

玄関扉は秋田県能代市の木製建具メーカーである株式会社コシヤマのスペリオルを使用しました。
いつもオーダーメイドで設計して建具屋さんに製作してもらっているデザインとほぼ同じ、ピーラー(米松)の羽目板張りで防火の認定を取得しており、断熱気密性能も高いものです。唯一の不満といえば、いつも使っている堀商店のレバーハンドルではないことくらい。そのレバーハンドルも嫌みなデザインではないシンプルなものなので良しとしています。
(「延焼のおそれのある部分」に掛かっていなければ、特注対応で堀商店のレバーハンドルを使用可能で、日野台の家では実際に試みています。)

リビングの開口部は防火ではない幅2.2mの2本引込みのフルオープンサッシュを使用しています。ガラスは網入ではないLow-E透明ガラス。もちろん防火認定されているサッシュではありません。どうしてこういうことができるのかというと、サッシュ左手の外壁を延長して防火壁として、防火壁の先端とサッシュの右端が3m以上になるように設計しているので、確認申請で延焼の恐れ部分に掛からないと見なされるからです。(それぞれの地域の自治体によって法の解釈に違いがあります。)

窓に関しては、数年前より防火の認定の関係で非常に高価なものになってしまったということと、大きな窓ができなくなってしまったこと(シャッターなしでは最大幅が1間まで)、防火ガラス(ファイアーテンパ)が使えなくなり網入ガラスになるなど、デザインの制約が大きくなりました。

リビング以外の窓は防火の網入ガラスのサッシュを使用していますが、リビングのメインの窓だけはシャッター付サッシュも網入ガラスもどうしてもデザイン的に許容できなかったので、いろいろ調べてこのようなかたちにたどり着きました。
(そのあたりは著書「読んで楽しい家づくりの なるほどディテール。(オーム社)」でディテールを紹介していますので、ご興味のある方はご参照ください。)


設計:徳田英和設計事務所
施工:和工務店





徳田英和
hidekazu.tokuda@gmail.com
徳田英和設計事務所
171-0031東京都豊島区目白3-8-6吉村ギャラリー2F
TEL 03-3954-6161
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2017/04/13

月見台のある家

月見台につながるリビング・ダイニング・キッチンのブロックは、おおらかな緩い弧を描く天井のワンルームの空間にしました。
天井はラワンベニヤ5.5mm目透かし張りで無塗装の張りっ放し、壁は漆喰塗りっ放し、床は赤松縁甲板12mmというローコスト仕様です。



月見台につながる掃き出し窓は、ガラス戸、網戸、障子とも壁に引き込まれ、スモモ畑の景色を取り込んでいます。


障子を閉めると空間の雰囲気ががらっと変わります。


ダイニングコーナーは北側のブドウ畑に大きく開きました。窓上部の下がり壁にエアコンが付いていますが、簡単に取り外せる目隠し板を設けたのでほとんど存在が気になりません。


キッチンはリクシルのシステムキッチンを使用しています。奥様のご要望でシンク前立上がりのないフルオープンのタイプです。コンロ横の壁には油の飛び跳ねでしっくいの壁を汚さないよう耐熱ガラススクリーンを少し浮かせて設置しました。
キッチンの奥には茶室や水屋に通じる扉と、北側のサービスヤードに出られる勝手口を付けてあります。


真ん中の白いダクトはそよ風の立ち下がりダクトです。ダクト下の箱は切替吹出し口。これを付けることによって、屋根で集熱した温かい風を床下に吹出して基礎のコンクリートに蓄熱させるか、直接室内に吹出すかを手動で切り替えることが出来ます。
切替吹出し口は金属製の無骨なものなので、カバーをデザインして大工さんに作ってもらいました。
立ち下がりダクトは隠す場合もありますが、今回は見せるデザインにしました。
冬場の集熱しているときはこのダクトの下が家中で一番温かい場所になり、立ち下がりダクト自体も多少温かくなります。切替吹出し口カバーをデザインすることで薪ストーブや暖炉にも似た存在感が出て、ワンルームの大きな空間のなかで求心的な役割を果たしています。



徳田英和
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徳田英和設計事務所
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月見台のある家

この家の平面は単純な長方形ですが、部屋の用途に応じた3つのブロックに分けて、奥に行くにしたがって天井の形状により空間に変化をつけています。
玄関・茶室のブロックは低いフラットな天井でしたが、一番奥の寝室のブロックは斜めの天井になっています。




寝室の片隅には書斎コーナーを設け、背の低い本棚をパーティションに居場所を分けています。



廊下には開閉式の天窓を設け、寝室入口上部の欄間障子を開けると風が流れるようにしました。


予算が限られていたので、何もかもオーダーメイドではできなかったのですが、浴室をユニットバスにするかわりに、洗面台と洗濯収納はこだわって造作家具で製作しました。
造作家具は扉や引出しが多いとコストが高くなります。そこで、デザインのいい既製品のカゴなどをうまく利用することを前提に、扉と引出しのないデザインにしました。
扉や引出しがないと湿気の心配が少なくなるというメリットもあります。
洗面台はカウンターをモザイクタイル張りにして、実験用の流しを埋込んでいます。




徳田英和
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月見台のある家

この家には茶室を設けています。
奥様が茶道と着物の着付けの先生をされていて、その教室としての茶室です。
玄関は教室の入口も兼ねているので格子の引戸としました。


ガラス戸のほかに網戸も入っており、左側の嵌め殺し部分に引き込みます。


奥の小さな扉はクロークになっています。


ポーチと玄関の床は豆砂利洗い出し。 玄関に入って正面が住居部分ヘの扉、右が茶室へ行く畳廊下になっています。


 玄関は茶室の延長で聚落(じゅらく)塗りの左官壁。一部凹ませてニッチを作りました。季節の飾りものを愉しむ場所。


こちらが茶室。教室用の茶室ということで、なるべくローコストで簡素な造りを心掛けました。


 襖の欄間の吊り束。言われないと気がつかないくらいのさりげないデザイン。


 照明はヤマギワの村野藤吾デザインのものを採用しました。



 水屋からキッチンにアクセスできるように、廻れるプランになっています。


徳田英和
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月見台のある家

月見台のある家は、郊外ののどかな敷地に佇むご夫婦のための住まい。

ご両親の母屋の奥のスモモ・ブドウ畑を一部切り開き建てられました。
クライアントの一番のご要望は月見台のある家にしたいということでした。
この地は街の喧噪から離れた集落で、夜は満天の星空が眺められる贅沢な地域です。
そこで、建物の真ん中に4帖半の大きさの月見台を配置するところから設計をスタートしました。




建物プランはシンプルな長方形の平屋で、素直に切妻屋根を架けました。
外観はジョリパット校倉の外壁、南面のみ木製製作建具、その他の面は予算の関係でペアガラスのアルミサッシュを採用しています。
屋根はガルバリウム鋼板瓦棒葺き。この地域は積雪も多いので、樋は玄関と居間から月見台に出る窓の前だけにタニタ・スタンダードを取り付け、他は地面に雨落しを設け浸透させています。

クライアントは当初蓄熱暖房機を設置したいと要望されましたが、国内でも有数の晴天率、日射量に恵まれた地域でもあり、それを利用しない手はないと、私がこれまでに手掛けてきた空気集熱式ソーラーの説明を重ね、「そよ風」を採用することになりました。


月見台のある家
設計:徳田英和設計事務所
施工:エスエーホーム





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2017/03/31

日野台の家 完成しました!

あいらぼで一緒にイベントをしている相羽建設とじっくり時間をかけて進めてきた「日野台の家」が完成、本日無事にお引き渡しをすませました。


フラット35S−Aプランの省エネルギー基準を満たした、OMソーラー搭載2階リビングの家です。
準防火地域でありながら、道路を挟んで緑豊かな眺望があるので、網入りではない透明Low-Eペアガラスを使用するために、2階は防火雨戸を設置、普段は戸袋に引き込めるようにしました。(そのあたりは著書「読んで楽しい家づくりの なるほどディテール。(オーム社)」でディテールを紹介していますので、ご興味のある方はご参照ください。)


徳田英和
hidekazu.tokuda@gmail.com
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2017/02/17

2月26日(日)暮らしの学校体感ツアー その八「街並みに暮らす」

一昨年の11月から続けてきたあいらぼ企画「暮らしの学校 体感ツアー」ですが、シリーズ最後となるその八「街並みに暮らす」が2月26日(日)に開催されます。
私も終日手伝いでおります。ぜひご参加ください!


あいらぼ

2013年に完成したソーラータウン多摩湖町が4年目の春を迎えます。
「街並みに暮らす」ことをテーマに、ソーラータウン多摩湖町の「住まい手さんの家」内覧会を開催します。
今回見学させていただくのは、街並みに配慮しつつも、それぞれに特色が詰まった2軒のお宅です。
この機会に外と内両方から暮らしぶりを体感してくみてださい。
あわせて設計者によるトークイベント、薪ストーブによるピザ焼き体験を開催します。


■Fさんの家
今に設けた吹き抜けが薪ストーブの暖かさと家族のぬくもりを2階へ運びます。
下屋を張り出すことで実現したキッチン廻りの回遊性と外部の軒下空間をご覧ください。
(設計:強谷 陽)

あいらぼ (2)

■Mさんの家
ペレットストーブや特注の丸テーブルなど見所満載のお住まいです。
(設計:市川 淳)

https://aibaeco.co.jp/event/wp-content/uploads/sites/3/info/1807/440908563045c68e72bd5e753343f86d.jpg


講師 強谷 陽(スネヤアキラ建築設計室)
   市川 淳(市川設計)
日付 2月26日(日)
会場 ソーラータウン多摩湖町…東京都東村山市(ご予約の際に詳しい案内図をお送りします)
参加費:無料
*お車でご来場の方は事前のお知らせください。
*予約制

<イベント参加ご希望の方へ>
下記の希望項目と時間をお知らせください。
■「住まい手さんの家」内覧会&トークショー(予約制)
 午前の部…内覧会10:00集合−11:00 トークイベント11:00−12:00
 午後の部…内覧会13:00集合−14:00 トークイベント14:00−15:00
 *トークイベントはソーラータウン多摩湖町の設計者によるものです。是非ご参加下さい。
■薪ストーブ体験(予約制)
 12:00−13:00


申込みは → こちらから(相羽建設)

>8人の建築家グループ「あいらぼ」のHPはこちら


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