2011/05/25

世田谷の家


2階居間の大開口部からの光に導かれて階段を上る。階段は段板・蹴込板・手摺りともに米松無垢材である。


階段を上りきるとデッキテラスにつながる。巾1間半の開口部はガラス戸、網戸、障子を戸袋にすべて引き込むことができる。


障子を閉めると光が柔らかくなり、まるで違った雰囲気が味わえる。


階段と居間の仕切り壁はソファでくつろぐ時に守られている感じがほしいので高さ1.5mとした。
壁の上は住まい手にとって絶好の骨董の飾り棚になった。


守られ落ち着ける場所でありながら、開口部がソファの背より奥まで開いているので、浮遊感のある不思議な居心地のよさができた。



居間・食堂は約5mx5mで15帖ほどである。仕上げは床が赤松縁甲板15t、壁はしっくい塗り、天井はプラスターボードAEP塗り。ダイニングテーブルとベンチは住まい手が以前から使用していたアンティークのものである。


キッチンは特別凝ったものではなく、いつもどおりシンプルな設計である。カウンターはシンク・コンロ台がステンレスヘアライン1.2mm、配膳台がナラ無垢板30mmを使用している。手持ちの器が多く、奥にたっぷり収納できる食器棚を設置した。


天井はゆるい丸天井になっている。低いところで2.04m、高いところで2.44m。天井はすべて高くしてしまうと落ち着きのない空間になってしまうので、低いところと高いところのメリハリをつけるよういつも心掛けている。
TVキャビネットは特注で製作した。シナランバコアの箱にナラ無垢板の甲板をのせて、格子網戸と同じデザインの格子の引戸をつけたシンプルなデザインである。TV右手は書斎への入口になっている。


 書斎から食堂を見る。



仕事柄本を多く所有する住まい手ご夫妻のために、たっぷり収納できる本棚のある書斎を作った。巾1間x長さ4間の細長い空間の両面が床から天井まで本棚になっている。


書斎からの眺め。竣工して3年、緑がとても豊かになっていた。

2011/05/24

世田谷の家


南庭からの立面。約四帖半の和室を下屋として出して、その上部にデッキテラスを載せている。


和室は南西隅の2面を天井までの開口にして、庭の緑とより近い関係を作った。



障子は吊戸にしているので、敷居がなくスッキリさせている。


この和室は茶室ではなく、夜静かにお酒を楽しむための趣味の部屋である。天井高を1.9mとかなり低く抑えることによって、建築と人との関係をより親密に作ることができた。
仕上げは床は縁なし畳、壁は藁入りじゅらく塗り、天井は杉柾目突板羽重張り竿縁天井としている。床は地板を欅突板、幕板は杉赤身とした。


襖は蘭の花散らしのタイコ張り襖に仙徳の丸引手としている。


寝室も天井高を2.1mと低く抑えているが、クローゼットや開口部を天井いっぱいまで高くしているので低さはあまり感じない。


障子を開けると和室の下屋が見える。自分の家の中に居ながら自分の家が見えるというのはなんとなくうれしい感じがする。



寝室の奥に洗面所と浴室がある。ここも天井高を2.1mと低く抑えているが、壁と天井に同じサワラ縁甲板を張ることによって、壁と天井の境があいまいに見えて広く高く感じるのである。
同様に浴室の腰壁と床も同じポリコンモザイクタイルを貼っているので、視覚的につながって見える。

2011/05/23

世田谷の家


世田谷の家は車好きの住まい手のために、車2台を格納できるガレージを持っている。


ガレージは下屋の深い軒によって守られている。軒天は米松縁甲板張りである。床はモルタル金ゴテ押さえに赤レンガをストライプ状に敷いている。


ガレージ内部には車いじりのための工具の収納や作業スペースを設けている。


オーバースライダーシャッターを下ろすとトップライトからの光が降り注ぐ。
仕上げは壁・天井はラワンベニヤ目透かし貼り、床はモルタル下地に防塵塗装塗りである。


アプローチは道路から少し引きを取るために米松の格子門扉を設け1坪ほどのポーチ空間を作った。ポーチの奥に見えるのが玄関扉である。


玄関からアプローチを見返す。床の赤レンガ羊かん敷きは竣工直後に性質上白い粉を吹くが、1年くらいで落ち着く。3年が経過し素材の味わいが段々増してきてたようである。


玄関を上がると右手に寝室、突き当たりは和室である。階段を上ると居間・食堂である。今回も住宅密集地なので逆転プランを採用している。


階段は広がりを持たせるために、片側の手摺りを設けていない。

2011/05/14

世田谷の家



2008年竣工
設計:N設計室+徳田英和設計事務所
53坪の敷地に建つ、44坪の家