2012/02/21

半農半居~石巻の漁師さんの番屋に・・・のその後

国際環境NGO FoE Japanによる産業復興拠点づくりの「半農半居~石巻の漁師さんの番屋に」を書いてから5ヶ月、ちょっと違った展開になってきましたのでご報告します。
当初の石巻の漁師さんの番屋づくりは別の建築家が担当になり、我々は岩沼という仙台空港の近くで、津波で畑を流されてしまった農家の方々のための番屋づくりを担当することになりました。

詳しくは、
FoE Japan | 産業復興拠点づくり
FoE Japanスタッフブログ <復興支援事業>棟梁と打合せ

半農半居の本来の設計コンセプトにより近い用途になったわけですが、岩沼の農家の方々の意見をよく聴いていくと、住宅的なものでなくもっと納屋のようなものであることが分かってきて、石田さんが新たに設計し直しました。この模型は僕が製作しました。


対の屋になっていますが、1つが1間半x2間、つまり6帖であり、面積は9.94m2になります。10m2以下に押えることで確認申請を不要にしています。
材料は東北の杉材3寸角(90mmx90mm)を中心に一部古材廃材も活用される予定です。


施工は先日の「鉄骨造の工場を伝統木構造で耐震補強」でご活躍の白根工務店が中心となりボランティアの有志によって行われます。
現在材料の手配や施工の段取りを着々と準備しているところ。この1棟目が来月施工の予定で石田も僕も参加予定です。今回の被災された方に対して僕には寄付などできないので、ボランティアで模型を作ったり、施工に参加するということで少しでも力になれればと思い、頑張ってこようと思います。

2012/02/20

生ハム完成!


ついに薫煙が終了。ハムレーくんの扉を開けると、肉やチーズがいい感じに色が着いています。


 これが僕の分、左がバラ、右がモモです。誰の肉か見分けるために木片に名前を書いてはさんであります。


スライスには本格的な生ハム用スライサーを使用。イタリア製で重厚なデザインが素晴らしいですが、微妙な厚さも調整できる優れもの。切れ味が素晴らしく、取り扱いには細心の注意が必要。取り掛かる前のアルコール消毒と終わった後の清掃に手間が掛かりますが便利な機械。


スライスしてから手早く真空パック。ここはスピード勝負。 パナソニック製の真空パック器は以前のものに比べて袋がエンボス状になり、きっちり空気が抜けるようになった。これでパックしてしまえば少なくとも1年は保存できる。



ちょっとモモ肉を試食。今回は酒のおつまみにマッチするよう、昨年より塩分を少し上げていると塩漬けのときに説明しましたが、どのような出来栄えになったかドキドキしながらの一口。
うん!なかなかいい感じです!ただし場所によって塩分の薄いところと濃いところがあります。
モモは厚みがあるので内部まで均一に塩分を浸透させるのは難しいです。これは来年の課題として持ち越しです。でも昨年に比べてまた一段と完成度が上がった感じで大満足!
シングルモルトは今回「余市」をチョイスしてみました。肉が北海道の寧楽産なので、お酒も北海道の余市と「北海道」つながりです。

2012/02/17

まもなく燻煙終了

先週の土曜から燻煙を始めて、あとトレイ1枚半で終了というところまできました。
合計20kgの肉を燻煙するのにトレイ10枚、1枚あたり順調にいって12時間なので延べ5日間ですが、途中で火が消えることがあるので1日1枚半ぐらいのペースはだいたい例年通りです。


どうしておが屑の火が途中で消えてしまうのだろうということで、奥村先生やまことさんと議論になります。おが屑の下に敷く薪が大きいのが入っていたからとか、大きい砂糖の塊りが混じっていたからと僕は考えていたのですが、先生たちの見解は十分な新鮮空気が入っていないのではないか、燃えきったトレイに新しいおが屑を敷く前の灰を取り除く作業が十分じゃないのではないかということでした。
あれこれ議論を重ねて、次はこうしてみようとか、こうしてみたら上手くいったとか、そういった試行錯誤を楽しみながらやっています。


 ハムレーくんの小窓をのぞいてみると、肉もすっかり色がついておいしそうになってきました。左側に白い四角い見慣れないものが入っていて、なんだろうと思ったら、まことさんがチーズを入れていました。
そういえば昨年もまことさんはスモークチーズに挑戦したのですが、肉と同じ5日間燻煙したらすごく硬くなってしまって、それで今年は3日くらいでやってみようということだったのです。


この1週間煙のチェックをするために久しぶりに中村橋の奥村設計所で机を借りて仕事させてもらいましたが、まことさんの作るお昼ご飯もおやつも、実験精神にあふれていて毎日本当に楽しいです。
ちょっと体重が増えてしまったかもしれません。

2012/02/15

鉄骨造の工場を伝統木構造で耐震補強

先日、茨城県のとある工場にて耐震補強の工事の様子を見学してきました。
鉄骨造の建物の耐震補強というと一般的には鉄骨を使って行われると思いますが、工場の稼動を止めないで休日に行われる工事なので、火花が散らず養生費が安くすむということで木造で耐震補強が行われました。

この工場は鉄骨造3階建て、昨年の震災で2階と3階の床のあちこちでクラックが入るという被害が出ました。床の構造はQLデッキという合成スラブ構造。地震で梁とデッキスラブの定着が効かなくなり水平剛性が不足しています。そこで杉の4寸角を使ったフレームをスラブ下に組み込んで水平剛性を高めています。


このフレームは自重で下って落ちてこないかというのを誰もが心配するのですが、日本の伝統的な仕口を使って、下れば下がるほどブレースが突っ張っるような仕組みになっています。


左から施工担当の白根工務店・白根さん、構造担当の増田一眞さん、 設計担当の石田さん。
白根さんが持っているのは束で、斜めにカットしてあるので、木が痩せたり暴れたり、また地震で揺れたりなど、フレームが下るほど鉄骨に圧縮力が掛かって水平剛性が上がるように工夫しているとのことです。
NPO伝統木構造の会のメンバーであり、日本古来の木構造の仕口を得意にされている白根さんならではの素晴らしい仕事でした。

2012/02/13

燻煙開始


塩漬けの工程が終わった肉をそれぞれが持ち寄り「ハムレーくん」による燻煙が始まる。


トレイに割り箸状の薪を置き、その上におが屑をかぶせていく。おが屑には香り付けのための月桂樹の葉を刻んだものや艶出しのための砂糖が少量混ぜられている。


ハムレーくんの燻煙庫内に肉を吊るしていく。左の写真は私のもの。左がモモ肉2㎏、右がバラ肉2㎏。右の写真は今回の参加者全員分の肉合計20kgの吊り下げが完了したところ。網もタコ糸で自作されたものである。


いよいよおが屑に着火!煙突から少しずつ煙が出てくる。庫内上部に取り付けられた白熱球の熱による上昇気流を利用し、冷やされた煙をゆっくり引っ張っている。


庫内の温度計は2度を指している。試運転されていたので少し低めになっていた。基本的には4度以下をキープしていくが、冷えすぎたり、湿度が高くなってくると冷却フィンが凍結することがあるので毎日温度計をチェックして温度設定を見極めなければならない。下の写真はハムレーくんに付いているサーモスタット。


一通り作業を終えて一杯。みんなでトレイをチェックする当番を決める。トレイは順調にいって1枚あたり12時間で燃焼する。1日で2枚のトレイを交換しなければならない。それを5日間。みんなで交代しながらのチェックであるが、心配なので徳田事務所は今週中村橋で仕事することにしました。

2012/02/08

生ハムづくり2012

今年も生ハムづくりの季節がやってきました。
これまでと同じく北海道の寧楽共働学舎からモモ肉とバラ肉をブロックで購入。
寧楽では月に1度、発注を受けた分だけ出荷するシステムになっているので、東京のどこのスーパーで売っている肉よりも新鮮。したがって寧楽の出荷日に合わせて生ハムづくりのスケジュールが決定されています。


今週末からのハムレーくんの薫煙に向けて塩漬けの準備。
まずは塩漬け用の塩水づくりから。
今回は合計4kgなので4Lの塩水を作ります。水道の水を殺菌のために一度沸騰させて冷まし、冷蔵庫に入れて一晩冷やします。ハムレーくんによる生ハムづくりで一番重要なのは温度管理です。常に4℃以下という状況の中で作業を進めていきます。
その水にボーメ計で塩分濃度を確認しながら塩を足していきます。
一昨年、昨年と塩分は10%に設定していましたが、お酒のおつまみとしてはちょっと物足りない感じがあったので、今年は12%に設定してみました。
塩水が出来上がったらビニール袋に肉を入れて塩水に浸します。冷蔵庫に入れ3日間寝かします。


これが塩ボーメ計です。浮ひょうといって釣りの浮きのように浮かせて水面のところの目盛で塩分を量ります。一般的にはうどんやラーメンの麺のかん水を作る時や、汽水魚や海水魚を飼育するための水槽の水を作る時などに使われています。