2012/04/21

あがり屋敷の家見学

最近親しくなった若原アトリエの若原一貴さんに以前からお願いしていたご自身の設計によるご実家を見学する機会を得た。この建築は池袋と目白の中間に位置し、仕事場から池袋方面への抜け道からよく見えるところにある。10年くらい前の竣工当初からかっこいい家だなという印象があって内部も見学してみたいとずっと思っていた。


外観は非常にシンプル。濃いグレーの外壁に正方形の窓が一つだけ開けられている。窓越しに椅子が写っているが、道路から1.8mほど上がったところが1階の床であり、近すぎる前面道路との関係を高低差を使って道行く人とうまく視線をずらしている。
住まい手である若原さんのご両親はこの窓の前の場所が気持ちがいいのでこの椅子に座ってくつろいでいることが多いとのことだが、訪問者が窓の前を通ってもこの椅子に座っていることに気付かないことが多いという話であった。


1階が道路から上がっている分、半地下を寝室にしていてたっぷりとしたドライエリアと連続させている。縦方向に視線が延びるので、この狭小敷地で建築面積10坪の家としては考えられないくらい広がりを感じる。
1階から2階へ行く階段の途中の踊り場が書斎になっており、ここも居心地のよさそうな場所になっていた。


 2階がリビングダイニングの大空間になっている。3間強のスパンを無柱で飛ばしていて、開口部を注意深く絞っているので、壁・天井の「面」を感じさせる空間である。
ご両親はギャラリーを主宰されているだけあって、使っている家具や飾ってある美術品や何気なく置いてあるものの一つ一つが選び抜かれたいい物ばかり。その物が映えるように建築を客体化させるよう意図されていた。
この見学の後、隣にある「上り屋敷ギャラリー」でビールを飲みながら建築談義。若原さんが修行された横河健さんの興味深い話などいっぱい聞けて楽しい一夜となった。

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